滝井通信

撫子の花

2024.01.31

 みなさん、おはようございます。校長の松下です。
 先週の金曜日で授業も終わり、いよいよ卒業まであと1か月となってきました。みなさん、今の心境はいかがですか?
 なんだか寂しいなと思っている人、早く新しい世界に踏み出したいと思っている人、それぞれかと思いますが、これからテーブルマナー講習や滝井のグランドフィナーレ(継承式)に向けた準備など、まだまだ取り組むべきことは残されていますので、最後まで頑張っていきましょう。

 さて、合同朝礼のたびに、みなさんの前でこうやって話をしてきたわけですが、ついに合同朝礼も今日で最後になります。私、少しどころか、とても寂しいです。
 みなさんが3年前に入学してきてくれて以降、合同朝礼の場で何回みなさんにお話ししてきたと思いますか? その数、何と、39回です。結構話させてもらっていますよね。
 みなさん、何か一つでも覚えてくれていますかね? 完全に覚えてはいなくても、話を聞いた時には、ちょっと考えたり感じたりしたものがあったなあとか、ありますかね? もし、そんな人が何人かでもいてくれるのなら、とてもうれしいです。


 ということで、今日は最後の合同朝礼なんですが、みなさんが入学した直後、1年生の5月に実施した最初の合同朝礼で話した話を、そっくりそのまましてみたいと思います。何を話したか、みなさん覚えていますか?
 第1回目の合同朝礼では、校歌の話、校歌の歌詞に込められた想いについて話をしました。

 当時はまだコロナ禍の真っただ中。みなさんの入学式でも校歌は歌えませんでした。始業式や合同朝礼もみなさんが1年生の間は、ずっと放送朝礼でした。
 本来、式典や合同朝礼では校歌を歌うことになっているのですが、みなさんはしばらく歌える機会もないだろう。そう思って、みなさんがこれから高校生活を送り、卒業後は母校となる滝井の校歌をしっかりと理解してほしい、そんな思いで話をしました。

 みなさん、校歌の歌詞は覚えていますか? 校歌に込められた意味、理解していますか?
 卒業式では、しっかりと校歌歌いたいですよね。今日はもう一度、校歌の歌詞に込められている想いを、みなさんにお話ししますので、よく聞いてください。

 校歌は1番から3番まであります。まず、歌詞の中に1番から3番まで共通して使われている言葉が一つあるんですが、みなさん、分かりますか? そう、それぞれ最後にある「撫子の花」ですね。

 「撫子の花」って、みなさん見たことありますか?「撫子」は“やまとなでしこ” という言葉があったり、サッカー女子日本代表の愛称 “なでしこジャパン” に使われていたりと、日本女性を象徴する花として古くから認識されています。
 本校でも、創立時から学校の象徴として位置付けられ、以前は校章や校旗にも使われていました。ですから、校歌の歌詞にある「撫子の花」は、実はみなさんのことを指しています。

 それでは、1番から順番に、歌詞にどういう意味があるか見ていきましょう。

 まず1番の最初の三行の意味です。
 「雲にそびえるほど高い金剛山が、その裾野を広く広げているように、しっかりとした土台を築いている滝井高校に」という意味になります。「学びや」は、滝井高校のことですね。
 そして、最後の一行、「咲くもめでたし」ですが、その滝井高校に花をつけておめでたい、つまり、「みなさん、入学おめでとう」ということを表しています。
 そう、1番は入学してきたみなさんを歌った歌詞なんです。

 では、次に2番を見てみましょう。
 こちらもまず最初の三行の意味ですが、「脈々と流れている淀川の水よりも美しいくらいの気高さを持ち、一生懸命勉強に取り組んでいる滝井高校に」という意味になります。「園のうちに」は、滝井高校のことです。
 そして、最後の一行、「色も懐し」ですが、「色」はみなさんの姿のことを表し、「懐し」には「可愛らしい」という意味もありますので、つまり、「みなさんの姿はとても素敵ですね」と、在校中のみなさんを歌った歌詞になります。まさに、毎日キラキラしていますね、ということです。

 さて、それでは最後3番の歌詞です。
 こちらもまず最初の三行の意味ですが、「世の中の見本となるくらい、高校3年間で内面までも美しくなり、成長したみなさんが、卒業した後も活躍していくだろう」といった意味になります。
 そして最後の一行、「姿もやさし」ですが、「やさし」は漢字で書くと“優秀”の“優”です。つまり、「みなさんの姿はとても優美で立派ですね」と、卒業するみなさんを歌った歌詞になります。
 そう、卒業した後も一生ヒロインですね、ということです。

 分かりましたか?滝井の校歌は、1番がみなさんが入学してきた時を、2番はみなさんの在校中の時を、そして3番はみなさんが卒業する時を歌った歌なんです。とてもいい校歌ですよね。
 また、校歌を作曲してくださった岡野貞一(ていいち)さんという方は、みなさんもよく知っている童謡の「ふるさと」や「春の小川」「おぼろ月夜」「もみじ」などを作曲されたとても有名な作曲家です。

 この校歌は、94年前に学校が創立されて以来、多くの卒業生が青春時代の思い出として心に刻んだものです。
 みなさんも伝統ある滝井生として、この校歌に込められた思いを理解して、3月2日の卒業式では3年間の思い出をかみしめて校歌を歌ってほしいと思います。特に3番は力を込めて歌いましょう。

 それでは、最後の合同朝礼の話は以上です。どうもありがとうございました。