滝井通信

コミュニケーションができる人

2023.12.22

 みなさん、おはようございます。校長の松下です。
 今日は2学期の終業式です。みなさん、2学期を振り返ってみて、どうでしたでしょうか?充実した学校生活を送れましたか?
 年が明ければ、みなさんの高校生活もいよいよあと残り2か月。授業は1月26日で終わりですから、仲間や先生方と交流を持つ機会も残り少なくなってきています。
 以前、内部進学をするみんなの面接をさせてもらった際に、「残りの高校生活をどう過ごしたいですか?」という質問をしたところ、「今まであまり話しをしたことのないクラスメートともたくさんコミュニケーションを取って、楽しく過ごしたいです」と答えた人が何人もいました。
 どうでしょうか?みなさんの中にもそのように思っている人は多いのではないでしょうか。

 ところで、私が先生たちと普段話す中で、みなさんにこうなってほしいと先生方が願う生徒像の第1位は何だと思いますか?いつもダントツの第1位です。
 それは、、「コミュニケーションができる人」です。
 先生方は、みなさんが社会で活躍できる人になるために、「コミュニケーションができる人」になってほしいと強く願っているということですね。
 今日は、その「コミュニケーションができる人」について話をしてみたいと思います。

 ところで、みなさん、コミュニケーションって何なんでしょう?
 コミュニケーションの語源は、ラテン語の「Communis」という言葉で、「共有する、分かち合う」という意味があります。コミュニケーション能力を高めようというと、「相手にいかにうまく伝えるか」ということに意識がいきがちですが、コミュニケーションとは「双方向のもの」です。

 コミュニケーションの英語のつづりの最初には「com」が付いていますが、この「com」は、「共に」という意味の接頭語です。頭に「com」が付いている単語は、他にも「combination」や「community」、「company」など色々あります。これらの言葉は、すべて相手がいて、あるいは複数の人がいて、「共に」何かをやるという意味の言葉です。

 Communicationとは「相手との情報共有や意思の疎通」のことであり、それらをスムーズに行うことができる力のことです。ゆえに、自分の考えを伝えるだけでなく、相手の考えを読み取ることも重要になります。それにより、お互いの考えや気持ちをより深く理解しあうことができ、相手との信頼関係を構築できるのです。
 つまり、コミュニケーション能力とは、円滑な対人関係を育み、それを持続させるための能力でもあります。人付き合いや仕事、恋愛など、人と人とが向き合うあらゆる場面で、コミュニケーションの質の良し悪しの影響が現れるわけです。適切なコミュニケーションを何度も重ね、相手の性格や考え方を知り、相手にも自分を知ってもらうことで、信頼関係が育まれていきます。


 みなさんの中には、初めてあったばかりなのにすぐに仲良くなれる人やクラスの中でみんなに慕われている人を見て、うらやましいなと思ったことはありませんか。「自分は人見知りだから…」「自分はアガリ症で人と上手に話せないから」と、人とコミュニケーションを取ることを苦手に感じている人も多いのではないでしょうか。
 人付き合いが上手な人は、コミュニケーションのコツを身につけ、日々の生活の中でそれを実践しています。では、そのコミュニケーションのコツとは何なのでしょう。

 コミュニケーションは「双方向のもの」なので、自らの一方的な情報発信は、コミュニケーションとは言えません。自分が伝えたいことを正確に分かりやすく伝える「伝達力」はもちろん大事ですが、それ以上にコミュニケーションを取る上で大事なのは、人の話に耳を傾けて、相手が伝えたいと思っていることを理解する「傾聴力」です。聞く力ですね。
 「コミュニケーション=話すこと」と勘違いして、つい自分ばかりしゃべってしまう人がいますが、コミュニケーションにおいては、相手の話をしっかりと聞くことが大切です。このことをおろそかにすると、いっこうに話がかみ合わず、相手が伝えたいことの核心に迫れずに不快な気持ちにさせてしまいます。「話し上手」は「聞き上手」という言葉があるように、コミュニケーション能力が高い人は、相手の話をしっかりと聞いた上で、話すべきことを考えています。

 また「傾聴力」とともに大事なのが「共感力」です。相手の意見や気持ちに寄り添うことができる能力ですね。人の話をきちんと聞くように心がけると、相手に対する興味や関心が強くなります。「共感力」の高い人は、相手に「この人に話せば理解してくれる」「この人とは心が通い合う」と信頼を得ることができ、一層円滑なコミュニケーションが可能になります。

 では、反対にコミュニケーションを取るのが苦手で、人間関係がうまくいかないという人に共通している特徴はどんなことでしょうか。
 コミュニケーション能力の低い人は、まず自分の意見を曲げない傾向にあります。
 自分の意見と合わない人に対しては、敵と向き合うかのように自分の価値観を押し通そうとします。自分の主張ばかりにこだわってしまうので、相手の立場や目線で物事を見ることができません。相手の意見や立場をくみ取る意思がないので、人の話をさえぎってでもすぐ話の結論を出そうとします。
 相手の話も聞かず、意見も取り入れないというのでは、円滑なコミュニケーションが成立するはずもありません。

 また、コミュニケーション能力の低い人には、挨拶ができない人が少なくありません。
 挨拶は良好な人間関係を築くための基本であり、コミュニケーションの最初の一歩とも言えます。挨拶をしないというのは、人に対する好き嫌いが激しかったり、周囲の人に気配りができなかったり、自分に自信がないことなどが原因です。
 人と話すことが苦手な人も、人見知りの人も、まずは日々の挨拶から変えてみましょう。相手と目を合わせ、しっかりと挨拶をする。これを意識して行動することで、みなさんのコミュニケーション能力は大きく高まっていくはずです。


 「コミュニケーションができる人」いかがでしたか?
 挨拶もそうですが、頑張ったことをほめる・ほめられる、友達同士で励まし合う。日々の生活の中で気持ちのいい場面に出会うとき、そこには必ずコミュニケーションが存在します。
 みなさんには、コミュニケーションを通して、多くの人と円滑な人間関係を築いて、人生の楽しみを増やしてほしいです。


それでは、私の話は以上です。新年明けまして、3学期の始業式で、またみなさんと挨拶できるのを楽しみにしています。どうもありがとうございました。