滝井通信

アートな私

2023.08.25

 みなさん、こんにちは。校長の松下です。
 さて、今日は2学期の始業式です。みなさん、夏休みはどうでしたか?

 1学期の終業式では、みなさんにとって大事な“勝負の夏”にしっかりと勉強してほしいという話をしました。みなさん、どうでしたか?手応えを感じる夏になりましたか?
 高校生最後の年もいよいよ後半戦です。また一段、成長したみなさんが、2学期も様々な場面で活躍し、力を発揮してくれることを期待しています。

 さて、2学期の行事の中で、特にみなさんが楽しみにしているのは、やはり来月9月に実施される文化祭と体育大会ですよね。
 文化祭ではクラスごとの展示や各クラブの演技・演奏・発表など楽しみな企画がいっぱいですが、みなさんが2年生の終わりから準備を進めてきた「アート制作」の発表・お披露目の機会でもあります。
 制作はこれから最後の山場、完成に向けてもうひと頑張りというところかと思いますが、校舎内のいたる所に徐々にアートが描かれつつあって、私もとても楽しみにしています。

 ところで、このアート制作ですが、みなさんが滝井高校に入学以来取り組んでいる「ヒロインプログラム」の一環です。
 ヒロインプログラムは、みなさんが卒業後もずっと輝き続けるヒロインでいられるように、多くの学びと経験の場を作っていくという“ヒロインプロジェクト”の根幹の取り組みです。
 このヒロインプログラムでは、1年生の時に吉野での「自然体験・地方体験」を、2年生の時には「ボランティア・社会貢献」をやりました。“届けよう、服のチカラ”プロジェクト、やりましたよね。そして、最終学年3年生での取り組みが「アート制作」です。

 3年生の時に「アート制作」をやるというのは、実はみなさんが入学する前から決まっていました。
 これは、みなさんがまだ中学3年生の時に、滝井でオープンスクールなどのイベントで配っていたパンフレットです。みなさんもこのパンフレットを見て、滝井を選んでくれたものと思います。
 このパンフレットには、3年生では「アート制作」をすると書いてあります。では、なぜみなさんに「アート制作」をやってもらいたいと思ったのか。
 それは、これからの時代、“アート”はみなさんにとってとても大事なものだからです。

 では、みなさん、“アート”って一体何なんでしょう?アートを日本語で言うと、“芸術”ですよね。
 「これはアートだな」なんて言う時は、そこに芸術性を感じる時、文字通り、作り手の“芸(performance)”や“術(technique)”を感じ、普通の人だと創り出すことの出来ないすごさを感じた時ではないでしょうか。
 いやいやちょっと待って、私にそんな才能無いで、芸術性のかけらも無いのに、こらからの時代“アート”が大事とか言われてもどうしようもないしって思った人、いますよね。
 私は何もみなさんに、ゴッホやピカソになってくださいと言ってるわけではありません。“アート”な発想ができる人になりましょうと言いたいのです。


 芸術家は、作品を生み出す過程で、自分の考えや感情をベースに作品を作ります。つまり、アートとは「自分の中にあるものを表現すること」です。
 “アート”としばしば比較されるものに“デザイン”があります。デザインもアートと同じように作品を作っているように思えるかもしれませんが、デザインには必ずその目的があり、何かのニーズを満たすために行われています。服のデザインだったり、建築デザインなんかもそうですよね。
 「自分の中に存在するアート、社会に存在するデザイン」という言葉もあります。アーティストとデザイナーは似ているようでまったく違うわけです。

 アートは「自分の中にあるものを表現すること」、つまり「自らの発想で、それまで無かったものを新たに創り出す」ということです。
 現在は、技術革新がどんどん進み、変化が激しい時代です。また、価値観も多様化し、これまで当たり前だったものがすぐに古くなってしまいます。そうした時代には、今までにない発想で、新しいアイデアや新しいものを生み出す力が重要になってきます。
 つまり、みなさんがこれから生きていく社会の課題解決には、“アート”な考え方が必要で、みなさんに「アート制作」をやってもらおうと思ったのはこのためです。


 みなさん、2年生の12月のヒロインセミナーで、末永幸歩さんという講師の方に「アートの特別授業」をしてもらったことを覚えていますか。
 実はみなさんが「アート制作」に臨む前に、“アート”について色々と考えてほしいと、そのタイミングで開催したセミナーでした。近くの人同士で似顔絵を描いたり、「緑のすじのあるマティス夫人の肖像」という絵を見て、みなでどう思うか話し合ったりしました。

 そのセミナーで、末永さんはこう教えてくれました。「始まりは興味の種、やってみたいという気持ち。これに従い、大きな探究の根を伸ばす。実際にやってみたり、自分なりに考えてみたりする。そして表現の花を咲かせる。自分だけの答えを見つける。これが“アート”です」。
 どうですか、みなさん、“アート”の大事さが理解できてきましたか?
 みなさん、ぜひ今回のアート制作をきっかけに、これからの時代に必要な「アート思考」を身につけていってほしいと思います。


それでは、今日から2学期が始まります。みなさん、2学期も頑張っていきましょう。
私の話は以上です。どうもありがとうございました。