滝井通信

ポジティブとネガティブ

2023.06.16

 みなさん、おはようございます。校長の松下です。

 さて、暦は6月半ばとなりました。梅雨のうっとうしい日が続きますが、1学期もいよいよ後半戦に突入してきました。終業式までには、芸術鑑賞やノー制服デーなどの行事もありますし、コースによっては実習もあります。また、クラブ活動で全国大会を目指して決戦に臨む人もいますね。もちろん、期末考査もあります。
 みなさん、それぞれに、存分に楽しみ、そして頑張っていってください。


 ところで、突然ですが、みなさんは「ポジティブ」ですか?それとも「ネガティブ」ですか?

 私は「ポジティブ」という人もいれば、私は「ネガティブ」かなという人もいるでしょう。
 一般的には、どちらかと言うと、「ポジティブ」の方が良くて、「ネガティブ」はダメと思われがちですが、本当にそうなのでしょうか?今日はそんな話をしてみます。

 さて私ですが、みなさんにはどのように見えているでしょうか?ポジティブ?それともネガティブ?

 私は自分ではポジティブな人間だと思っています。何事も前向きにとらえて「何とかなるさ、頑張ろう。」と考えて日々生きています。
 ですので、何かあると色々と考え込んでしまう人を見ると、「そんなマイナス思考をしないで、前向きに考えればいいのに。ネガティブな人だな。」と思いがちでした。

 しかし、ある時、家で妻と話をしていた時に、こんなやり取りがありました。
 妻の話しを聞いていて、その内容にもどかしくなった私が「そんなネガティブな考え方をせずに、もっと前向きに考えたらいいのに。」と言ったんです。
 すると、妻はこう言いました。「私はネガティブなんかじゃない。慎重なだけよ。あなたは、いつもポジティブに考えろというけど、ポジティブばかりが正しいわけじゃない。慎重に考えることも大切よ。」

 なるほど、「そうか、そんな考え方、あまりしたことなかったなぁ。。」とハッとさせられました。


 みなさんの中にも、ついネガティブに考えて自分に嫌気が差す。ポジティブに考えられたらもっと人生が楽しいはず。そんなふうに自分を肯定できず、生きづらいなぁと思っている人もいるかもしれません。
 でも、どうして「ネガティブな自分は嫌だ」「ポジティブがいい」と考えてしまうのでしょうか。

 心理学的には元々、ポジティブ思考がいい、ネガティブ思考はよくないという考え方は無いそうです。
 ところが、日本でポジティブ心理学が広まった時に、ポジティブは楽観的、前向き、ネガティブは悲観的、後ろ向きといった言葉が使われたせいで、ポジティブの方がいいという印象がついてしまったそうです。
 ポジティブ心理学は、本来、ポジティブもネガティブも両方認めようという考え方です。ネガティブに考えることはちっとも悪いことではありません。誰だって、ポジティブに考えることもあれば、慎重になることもある。100%ポジティブな人なんていません。
 全く悩む必要はないし、怒りや悲しみなどのネガティブな感情が生じても、それを恥じることもありません。
 
 ただ、だからといって、ネガティブな感情を放っておいていいというものでもありません。それではやがて、ネガティブな感情にのみ込まれてしまいます。
 大事なのは、まずネガティブな感情があることを認めること、その上でポジティブとネガティブのバランスを保つことです。
 ある心理学者の研究では、ポジティブ感情とネガティブ感情の比率が3:1が望ましいそうです。
 ここで注目したいのは、3:0ではないことです。私なんかは、これまでずっと、3:0であるべきだと思っていました。
 
 そもそもネガティブな感情をゼロにすることはできませんし、ネガティブな感情は邪魔なものでしかないかというと、そうではありません。行き過ぎたポジティブ思考にブレーキをかけ、リスク管理をしてくれる役割がネガティブ感情にはあります。
 ですから、自分はネガティブなタイプだな、と思っている人がいたとしても、無理に直そうとする必要は無いと思います。無理にポジティブに考えたからといって、自己肯定感も高まらないと思います。

 しかし、ネガティブでしんどいのは、色々考えごとをし出して、抜け出せない闇の中のループに陥った時でしょうか。

 みなさん、漫才コンビのオードリーって知っていますか?
 そのオードリーの若林正恭さんが書いた本の中に、こんな言葉があって、知る人ぞ知る名言とされています。
 若林さんは、ネガティブを自認している人なのですが、その名言とは、

 『ネガティブを潰すのはポジティブじゃなくて没頭だ』です。

 若林さんいわく、ネガティブの三大ブランドが「暇と飢えと寒さ」らしいです。人間、暇だと、どんどんネガティブの芽が大きくなっていくということです。
 自分にネガティブモンスターが襲ってきたら、音楽でもスポーツでも何でもいい、自分の好きなこと、やりたいことに没頭すること、それが一番。
 ネガティブな人が無理して自己啓発本読んでポジティブになろうとしたり、のんびりぼんやり余裕のある生活を送ろうとしたりするのは間違いで、それでネガティブが無くなるならば、もはやその人はポジティブなわけで、ネガティブを潰すためには、とにかく没頭することというのが、若林さんの考え方です。
 どうでしょうか?共感できる人もいるのではないでしょうか。


 今日は、「ポジティブ」と「ネガティブ」ということについて話をしてみました。
 これから進路について考えたり、受験勉強に臨んでいったりする中で、みなさんも色々と悩む機会も多いかもしれませんが、自分の気持ちとうまく向き合って、乗り越えていってほしいと思います。

 それでは、今日の私の話は以上です。どうもありがとうございました。