滝井通信

「自分らしさ」って何だろう?

2022.05.02

 みなさん、おはようございます。校長の松下です。
 暦はもう5月、新学年がスタートしておおよそ1か月が経過しました。みなさん、新しい学年・生活にはもう慣れましたか?

 5月病なんていう言葉もあります。ちょうど物事が慣れてきた時に、何となく物憂くなったり、しんどくなってきたりすることですが、みなさんは大丈夫でしょうか?
 そもそもみなさんの年代は悩み多き時期です。それはなぜでしょうか?
 それはみなさんが成長している証なんです。今日はそういう話をしてみましょう。 
 
 みなさん、「アイデンティティ」という言葉は知っていますか?聞いたことはありますよね。アイデンティティとは「“これが自分”という自覚」、分かりやすく言うと「自分らしさ」ということです。みなさんはどうですか、「自分らしさ」というものを持てていますか?

 みなさんは、今、10代半ば過ぎ、青春期にいます。青春期は、大きな体の変化を経験すると同時に、社会に出ていく準備の時期でもあります。
 青春期にはまず急激な体の変化により、自分自身の過去からのつながりを感じにくくなります。それに加えて、進路問題や友人関係、恋愛や親との関係の変化などといった悩みもあり、「これが自分」という像が不確かになりがちです。みなさんが悩むのは、このようにアイデンティティを確立させようともがく時期だからです。
 「自分らしさ」が見つからず、悩むのはみんな同じです。私もそうでしたし、先生方もみんなそうです。
 

 なかなか「自分らしさ」が見つからない。そういう人も多いでしょう。それはみなさんが悪いのではなく、今の世界はアイデンティティを確立しにくい時代なのです。スマホへの常時接続時代到来による情報過多と言っていいほどの日常。また、個人の欲求は比較的容易に満たされる世の中になってきています。こうした世の中では、アイデンティティが確立していなくても、あまり大きな問題無く生きていけてしまうのです。
 
 しかし、みなさんが子どもから大人になっていく過程の中で、「自分らしさ」を見つけるということは、自分がどんな大人になっていくのか、社会の中で何をして生きていくのかという葛藤でもあります。
 ですから、みなさんには大いに悩みつつも、「自分らしさ」というものを見つけていってほしいと思います。


 アイデンティティが確立しているということは、これが本来の自分だという自分を自覚しているだけでなく、かつそれが他人から見た自分とも一致しているということが必要です。
 例えば、「生徒にも保護者にも頼られる先生になりたい」という目標がある場合、教員免許を取り、就職活動を経て先生という職業につけば目的がかなうわけではありません。経験を積んで本人が自信を持ち、他人からも一人前になったと見られることでアイデンティティが確立したことになるわけです。
 
 アイデンティティを確立していくには大きく二つの方法があります。
 一つは、読書や実際の様々な体験を自分の中に蓄積することで、自分で考えた末、「自分らしさ」を見出す方法です。気づきや経験を多く持つことが大事ということです。
 もう一つは、「他者との関係性」や「他者が認識する自分」から「自分らしさ」を推察し認識していく方法です。つまり、アイデンティティを確立するためには他者との交流も不可欠、自分一人で悩んでいてもアイデンティティは確立できないということです。
 
 私がいつもみなさんに心掛けてほしいと言っている3つのことがありますね。
「何事にも好奇心旺盛に興味を持とう」「これはと思ったことはどんどんチャレンジしてみよう」「先生や友だちとしっかりコミュニケーションしよう」の3つです。
 これは、みなさんが「自分らしさ」を見出していく上でも、とても大事なことだと言えますね。みなさん、是非これからも心掛けてください。
 
 それでは、今日の私の話は以上です。どうもありがとうございました。