滝井通信

“サバンナ脳” で知力アップ!

2021.11.30

 みなさん、おはようございます。校長の松下です。
 さて、突然ですが、みなさん、両手でこぶしをつくり、それを手のひら側を内にして向かい合わせにしてみましょう。やりましたか?

 みなさん、それが、みなさんの脳の大きさです。重さは牛乳の紙パック一本分ほどでしょうか。その小さなかたまりの中に、みなさんがこれまでに感じたことや経験したことのすべてが詰まっているわけです。脳の中では絶えず新しい細胞が生まれ、互いにつながったり、離れたりしています。みなさんが何かをするたびに、それどころか何かを考えるだけでも、脳は少しだけ変わります。

 みなさんは毎日生活している中で色々なことを考えていると思います。勉強している時に、「う~ん、なんかやる気出ぇへんなぁ」とか、「集中力上がらん」とか、「もっと記憶力があったらなぁ」とか、また、何か新しいことをしようとしている時に「いいアイデア浮かばへんなぁ」とか、気分がもやもやしている時に「う~ん、ストレス感じる」とかです。これって全部、脳がみなさんに働きかけていることです。
 ではどうすればこの脳をみなさんにとってベストな形に変えていけるのでしょうか?分かりますか?
 それは、実は、、身体を動かすことなんです。どういうことなのか、今日はそんな話をしてみます。

 ではみなさん、みなさんがタイムマシンに乗り込んだとしましょう。
 タイムマシンは時空を超え、みなさんは今、一瞬にして1万年前に移動しました。いいですか?

 タイムマシンから出てあたりを見回すと、原始人がこちらを見てビックリしています。その原始人を見て、みなさんは何を感じるでしょうか?きっと、「わたしたちとはまるで違う。高い知能があるようにはとても見えない」と思うでしょう。
 しかし、実のところ彼らの身体の機能は、頭の先からつま先まで、生物学的にはみなさんと何一つ変わらない、認知機能や感情もそっくり同じものが備わっているのです。

 われわれの祖先は何百万年と狩猟採集生活を営んできました。毎日色々なところを歩き回り、食料を手に入れなければ、生き延びることが出来ませんでした。しかし、およそ1万年前にその狩猟採集生活をやめて農耕生活をするようになりました。そしてわずか200年前ですが、産業革命が起き、農耕社会から工業化社会に変わり、それが今はデジタル社会に取って代わられました。そう、食料はインターネットで注文すれば、玄関先まで配達してもらえる時代になったのです。

 わたしたちが農耕生活に転じて以来、1万年が経過しています。これは永遠にも思える年月です。しかし、生物学的に見れば、きわめて短い期間です。
 わたしたちが農民だった時代は、時間軸で考えると人類の歴史全体のわずか1%に過ぎません。
 工業化社会は約200年続いていますが、これも進化の観点ではほんの一瞬に過ぎません。
 人類の長い歴史を1日に短縮すると、わたしたちは午後11時40分まで狩猟採集生活を送っていました。そして工業化社会が始まったのは、午後11時59分40秒。1日が終わるまでに、あと20秒というときです。デジタル社会、つまりインターネットにつながったのは午後11時59分59秒。1日24時間のうちの最後の1秒です。

 生物の進化の過程において大きな変化が起きるまでには少なくとも何万年単位の時間がかかります。わたしたちの生活様式はそれをはるかにしのぐ速さで変わりました。ですから、生物学的には、わたしたちの脳と身体は今もアフリカのサバンナにいるのです。

 脳は身体を活発に動かすとドーパミンという脳内物質を出して気分が爽快になるようにプログラムされています。また運動によって集中力や記憶力などさまざまな機能も強化できる、つまり脳の働きをよくすることができます。
 サバンナで祖先が狩りをするときは、集中力を保つことが必須でした。獲物を仕留めるには精神を集中して忍び寄り、わずかな動きも見逃さず、すばやく行動する必要があったからです。われわれが運動をすると集中力が高まるのは、そのためです。

 運動は記憶力も高めます。それはなぜか。祖先にとって、動き回ることは新しい住み処や環境を探すことでもありました。座ってばかりいて動かないと、脳は新しい体験をしていないと解釈して、記憶力を高める必要はないと考えるのです。
 また運動によって、知力をつかさどる大脳皮質の機能が強化できることも最新の脳科学で証明されています。ですから、みなさんが勉強がはかどらない時や、何だか行き詰ってしまっている時には身体を動かすのが一番です。

 ということで、実は私の趣味はランニングなのですが、週末を中心によく走っています。走った後は頭もスッキリしますし、新たな活力が湧いてきます。
 みなさんも、これからは体育の授業で持久走が始まるのだと思いますが、きっとみなさんの中にある“サバンナの血”が刺激されて、脳をアップグレードしてくれるはずですよ。ぜひとも頑張りましょう。わたしも負けずに走り続けます。



 さて、それでは本日もまた、クラブ活動での嬉しいニュースをお知らせします。吹奏楽部のみなさんですが、先週末11月27日に神奈川県横須賀市で開催された「第6回全国ポピュラーステージ吹奏楽コンクール全国大会」に出場し、惜しくもTOP3入りは逃したものの、それに次ぐ上位校に与えられる審査員特別賞を見事受賞しました。吹奏楽部のみなさん、おめでとうございます。みなさん、拍手!ちょうど明日は滝井フェスタです。気分上々、ノリノリの演奏を明日も聞かせてくださいね。楽しみにしています。
 
 それでは、今日の私の話は以上です。どうもありがとうございました。