滝井の人

柴野伊織

2020.04.30

本年度から滝井高校の教員をしております、柴野伊織です。
教科は数学を担当しています。
自己紹介も兼ねて私がなぜ数学教師になったのかをお話ししたいと思います。

まずはなぜ数学なのかということですがこれには小学生時代にきっかけがありました。
算数の授業で円周率について教わったとき、私はある疑問を感じました。
その疑問とは「なぜ円周率は3.14と決まっているんだろう?」ということです。
円周率は「円周の長さ÷円の直径」で定義されています。
小学校では「あの円もこの円も円周の長さ÷円の直径を計算すると約3.14になる。だからどんな直径の円も円周率は3.14なんだよ」と教わります。
でも私はその説明を聞いて「たまたま授業で扱った円の円周率が3.14になっただけかもしれないじゃないか!」と思いました。
つまり、全ての円の円周率が3.14だと証明されていないじゃないか、という思いだったわけでですが、当時は証明という言葉も知らず、ただモヤモヤするばかりでした。
私は納得できず授業中に駄々をこね、放課後先生に「円周率について細かいことは小学校の内容では教えられない」と言われました。
それがきっかけで私は数学に興味を持ちました。
納得のいくまで理解したいと思ったからです。
そして知れば知るほどその面白さに惹かれていきました。
なので生徒の皆さんにも是非「解ければいい」ではなく「なぜそれが答えなのか」まで考えて勉強に取り組んでほしいと思っています。
絶対にそのほうが楽しいうえに学力につながります。
疑問を解決まで追求する楽しさを、ぜひ授業を通して感じてもらえればと思っています。



次に、なぜ教師になったのかについてですが、それは高校時代の経験が多く影響しています。
私の家庭は当時親が自営業を営んでおりましたが、リーマンショックの不況の波を受けて経営が難しくなり、自分も家庭を支えるために高校卒業後は働くつもりでいました。
しかし両親に大学に行くよう応援され、受験勉強を頑張ることを決意しました。
家族の学費の負担を少しでも減らしたかったので国立大学以外考えていませんでしたが、私の通っていた高校のコースでは国立大学にいけるのは年間大体2人だけといわれていました。
私の受験は「現役で塾に通わず国立大学に行くこと」が最低条件でした。
家庭の事情を考えると浪人という選択肢はなく、合格できなかったらどうしようという恐怖が常に付きまといました。
その恐怖と打ち勝つためにしたことは明確な計画スケジュールを立てることでした。
自分の現在地、目標までの距離、近づく手段等を明確にすることで漠然としていた恐怖を明確化していきました。
また学校の先生からも学力向上だけでなく気持ちの面でもたくさん支えていただきました。
そして無事合格を果たした時、私には合格まで努力した過程・応援してくれた人との繋がりこそが宝だったと実感しました。
元々友達に勉強を教えるのが好きだった私は、自身の当時の経験を活かして「努力との向き合い方」を生徒に伝えたい。そして当時自分を支えてくれた先生たちのように、今度は自分が生徒を支える教師になりたいと思いました。

私の好きな歌にこんな歌詞があります。


やれるだけやり切ったかなんて自分しか分からない
だから自分に嘘つくな 自分にはズルするな

誰かと自分を比べるよりも
己を誇れる人になりたい
自分を投げ出さず生きた今日を
褒め続けられる日々を送ろう

君にしか分からなくたって楽な道は選ぶな
最後に報われるのは逃げずに居た君自身だから


これは阿部真央さんの「Believe ㏌ yourself」という歌の歌詞です。

とても前向きな歌ですが、生活をしていて、頑張ろうと思ってもなかなかこの歌のように頑張れないときはあると思います。
そんな時あと一歩頑張れるよう、皆さんを支える教師になりたいと思っています。

生徒の皆さんも是非、勉強でも部活でも趣味でもなんでもいいので本気で全力で取り組み、充実した学生生活を送ってほしいと思っています。
コロナの終息が見えてこない中不安だと思いますが、自宅にいる時間を有意義に過ごしてほしいと思います。
皆さんと笑顔でお会いできることを楽しみにしています。