滝井通信

素直な人に

2023.05.16

 みなさん、おはようございます。校長の松下です。
 さて、暦は5月も半ばとなり、もう初夏と言ってもおかしくないほどの気候が続いています。今年度がスタートしてから1ヶ月半が過ぎましたので、最終学年3年生としてのみなさんの学校生活も軌道に乗ってきたのではないでしょうか。

 ところで、みなさんが高校2年生だった昨年度の最後、3月の終業式で、私はみなさんにこんな話しをしました。今年18歳になるみなさんに、「大人」って何だろう?と。
 それは、「独立」しているということだと思う。その「独立」というのは、「精神的に独立」しているという意味だ。そんな話しをしました。覚えてくれていますか?

 また、そこから、「社会に出てから大きく成長する人には幾つかの共通点がある」との話しもしました。
 その共通点とは、「勉強以外の経験をたくさんしている人」であるということと、皆「素直」であることを紹介しました。
 「勉強以外の経験をたくさんしている人」については、終業式ですでに話しをしましたが、「素直」については、またどこかの合同朝礼でみなさんに話をさせてもらうとしていました。
 そこで今日は、その「素直」についての話しをしたいと思います。
 「素直」であることが、今後みなさんが大きく成長できるかどうかの大事なポイントなんですよという話しです。よく聞いてください。

 みなさん、「素直」とはどういう意味でしょう?
 辞書を引くと、「性格や態度がひねくれておらず、まっすぐなこと」とあります。
 では、「素直な心」とはどんな心でしょう。それは、「自分の考えに固執せず、他人を受け入れる心」のことです。

 私は銀行員時代、毎年新入社員を何人も迎えていました。
 希望に燃える新入社員たちを何とかものにしてやろうと、情熱を持って一生懸命指導していました。
 しかし、同じように指導しているつもりなのに、23年経つと、期待通りに大きく成長する人と、なぜか伸び悩む人が必ず出てきます。なぜなんだろう?
 そして、ある時に気付きました。成長できる人とそうでない人の違いは、「素直」であるかどうかであることだと。

 人は生きて活動している限り、様々な場面に遭遇します。中には、見たことも聞いたことも無ければ、知らないことやあやふやなこともあります。こうした時に、「分かりません」「知りません」「教えてください」と言えるのが、「素直」ということです。
 な~んや、そんなこと、簡単やんと思った人、本当にそうですか? 実際、直ぐにそう言えますか?

 私の経験上、多くの人はこうした場面で「知ったかぶり」をします。
 「これって、こういうことでいいんやんな」
 「(あまりよく分からんけど、、) うん、そうちゃう」。
 「おまえ、これ研修でやったはずやから、もう分かってんな」「(研修でやった?やったんかもしれんけど、よう覚えてないな、、) はい、大丈夫です」。
 こんな感じです。みなさんも同じような経験ないですか?

 知ったかぶりをするのは、知らないということを恥ずかしいと思ってしまうからです。
 しかし、これをした瞬間、その人の成長は止まってしまいます。なぜなら、今持っている知識や経験以上のものを、もう積上げることが出来なくなるからです。
 素直な人は、この「知らない」「分からない」を迷いなく言うことができます。また、人の意見もよく聞き、常に努力する姿勢を持っています。素直な人とそうでない人、どちらの人が大きく成長することができるかは、おのずと明らかですよね。

 それでは、みなさんが「素直」になるためにはどうしたらいいのか。「知ったかぶりをしない」以外にも幾つかありますので、話をしてみましょう。

 まず、「人の意見を否定せず、最後まで聞く」ということです。
 みなさんの周りにこういう人はいませんか。人に何か言われると、「でも」「だって」「そやけど」と必ず否定で返す人。そして人の話を最後まで聞かず、いつも文句を言う人、口答えをする人。
 これも自らの成長を止めている人の典型です。
 自分と違う考えがあることを認め、先入観を持つことなく、人の話しを聞けるようになることが、素直な人になる第一歩です。

 そして次に、ポジティブな気持ちを大切にすることも大事です。
 感謝の気持ちを伝える、相手をほめるといったことをちゅうちょなく出来るのも素直な人の特徴です。
 誰かにほめてもらったなら「ありがとう」と感謝の気持ちを伝える。ポジティブな思いを抱いたら、その気持ちを相手に伝えるように心がけてみましょう。
 素直な人には誰でもなれますが、その人の心がけ次第でもあります。みなさんには、自分の失敗も人の意見も肯定できる人になってほしいです。そしてポジティブな気持ちを大切にすることで、自分に自信を持ち、常に成長し続ける「素直」な人になってください。

 それでは、今日の私の話は以上です。どうもありがとうございました。