滝井通信

reflective 振り返りができる人

2022.12.23

 みなさん、おはようございます。校長の松下です。
 さて、今日は2学期の終業式です。そして2022年ももう終わりですね。みなさん、今年はどんな1年だったでしょうか?
 去年・おととしと、コロナの影響で学校活動は大きく制約を受けましたが、今年はその制約もかなり軽減され、学校活動もほぼ例年並みに執り行うことができました。みなさんが滝井に入学してから初めて実施できた行事などもありましたね。
 やりたいことを存分にやったという人もいれば、思うようにはすべてが出来なかったという人もいるかもしれません。明日からは冬休みですから、その間に、それぞれ今年1年を振り返り、また新たな年への思いを固めてほしいと思います。


 ところで、今年1年を振り返ると言いましたが、「振り返り」をするとはどういうことでしょう?
 「あんなことあったなぁ」とか「文化祭楽しかったなぁ」と考えることは、単に出来事を思い出しているだけで、「振り返り」ではありません。
 「振り返り」は英語で「reflection(リフレクション)」と言います。「reflect」とは、本来「反射する」という意味ですが、そこから転じて、「物事を深く考える、省みる」という意味があります。
 じゃあ、「振り返り」って「反省」するっていうこと?と思った人がいるかもしれませんが、「振り返り」と「反省」は違います。
 「振り返り」も「反省」も過去のことに目を向ける点では同じですが、「反省」の主な目的は間違いを正すことです。これまでに起こった事実に対して、どこが悪かったのか自分自身の間違いについて思い出し、その原因や理由を考えます。スポットを当てる部分は、“間違いやミス” です。
 一方、「振り返り」は “間違いやミス” だけにスポットを当てるのではなく、フラットな視点で振り返って、客観的に自分の行動を見つめることです。「現状はこうである。それまでに自分はこんな行動をしてきた。しかし、他にもう少しうまくいく方法はなかったのだろうか?」と、失敗したことも成功したこともすべて含めて見つめ直し、新たな行動へとつなげていく未来志向の方法です。
 つまり、「振り返り」は「未来を創る力」とも言え、みなさんのこれからの人生においても大変重要な能力になります。

 では、今なぜ「振り返り」が重要なのでしょうか?
 それは、これからはこれまで通りの社会ではなく、新たな未来を想像することが求められる時代になってきたからです。逆に、今まで通りのことをしていてよいのであれば、「振り返り」は必要ありません。
 今の自分と将来の自分、今の社会と将来の社会、現状とビジョン(ありたい姿)があり、そのギャップをうめるために課題解決の必要性がうまれます。人は、いきなり未来のことを考えようとしてもうまくできません。だからこそ、「振り返り」は欠かせないのです。
 大事なポイントは、「こうなりたい」というビジョンを持ち、「こうしたらできるはず」という仮説を立て、実際に行動をし、何が足りないかを「振り返る」という一連の流れです。
 「振り返り」は、メンタル面や人格の形成にも役立つため、人間的な成長にもつながり、みなさんが身につけていくべき自律性も高めていくことができます。

 また、「振り返り」をより有効なものにするために必要になるのが、人との「対話」です。
 人間一人の認知では物事の側面しか見られず、判断も自分の経験や知識に依存しているため、どうしても偏りが出てきます。
 視野を広げ、より深く物事を考えるためには、自分とは違うモノサシや価値観を持つ他者との「対話」がとても重要です。まわりの仲間との「対話」は、みなさんの成長を支えるとても大事な要素であるとの認識を持ってほしいと思います。


 さて、どうでしたでしょうか?「振り返る」ということに対するイメージが持てましたか?
 1年の終わりを前に、みなさんにはぜひ今年1年を見つめ直し、来たるべき2023年への新しい行動につなげてほしい、そんな思いで今日の話しをしました。
 「振り返り」は、それをしようとすることは誰でもできますが、実際には “できる人” と“できない人” がいます。
 新たな年がスタートすれば、我らは「振り返りができる人」として、共に行動し対話して、新しい未来を創造していきましょう。

 それでは寒い日が続きますが、くれぐれも健康管理には気を付けて、楽しくも充実した年末年始を過ごしてください。年明け、3学期の始業式で、またみなさんの元気な顔を見られることを楽しみにしています。
 それでは、私の話は以上です。どうもありがとうございました。