滝井通信

学校で学ぶべきこと、学校でしか身につけられないこと

2022.11.16

 みなさん、おはようございます。校長の松下です。
 さて、時期はもう11月の半ば、3年生のみなさんは、高校生活もあと3ヶ月を残すのみとなってきました。また2年生のみなさんは、高校生活の折り返し地点を過ぎ、ちょうど後半戦に突入したというタイミングですね。進路のこともいよいよ気になってきた時期でしょう。
 そこで今日は、みなさんがそうした高校生活を送っている “学校” というものについてあらためて考えてみましょう。

 ところで、みなさん、学校って何のためにあるんでしょう?
 勉強して知識を身につけるため? もちろん、それはそうでしょう。知識をたくさん身につけることで、自分で考える力「思考力」も高まりますし、世界もどんどん広がっていきます。でも、学校がある意味はそれだけなんでしょうか?
 実は、学校生活を送る中で、みなさんは、将来社会に出た際に必要とされる社会適応能力を知らず知らずのうちに身につけていっているんです。またある意味、こうした能力は、学校でしか身につけることができないものとも言えます。つまり、大人になってしまった後では、身につけることがなかなか難しくなるということでもあります。
 では、それはどんな能力なんでしょうか。

 まず一つ目は、「対人関係構築能力」です。
 簡単に言ってしまうと、“人と良い関係を作ることができる”、“人とうまくコミュニケーションをとることが出来る”といった能力です。これは、イメージしやすいですよね。
 滝井にも多くの中学校から生徒が進学してきてくれていますよね。入学当初は知らない人ばかりだったでしょうし、そうした人たちと同じクラスになったり、部活動を一緒にしたりして、共に活動していくわけです。
 中には気が合わない人がいたり、意見が食い違ってケンカしたりすることもあるでしょう。これ、大人になってもまったく同じです。
 学校ではまだ、先生が仲を取り持ってくれたり、アドバイスをくれたりするかもしれませんが、大人になれば、周りにそんな人はいません。気が合わない人とは、学校では関係も持たないようにと避けることもできるかもしれませんが、職場ではそうもいかないこともあります。
 こうした時に生かされるのが、学校で身につけた対人スキルです。みなさんも学校生活を送る中で、人間関係や友達との関係で悩んだり、苦労したるすることがあるかもしれませんが、そうした経験も実は大人になるためには必要なことなんです。逆に、それを避けて通っていると、大人になってから、もっと苦労することになります。
 それと、私や先生方が毎日のようにみなさんに口うるさく言っている挨拶や言葉づかいも同じです。
 社会に出てから、挨拶がきちんと出来ない、敬語など正しい言葉づかいが出来ないとなると、礼儀を知らない人だ、常識の無い人だと、あなたの周りの人は “黙って” あなたから離れていきます。そうならないよう、注意してくれる人がいるうちに、挨拶も正しい言葉づかいも出来るようになっておきましょう。
 常日頃やっていないことは、いざという時にも絶対にできませんよ。
 

 次に二つ目は、「ストレスコントロール力」です。
 世の中、すべて自分の思い通りになってくれればこんな楽なことはないのですが、実際はそんなことはありません。むしろ、“世の中は自分の思う通りにはならない” という前提で構えていることが大切です。
 みなさんの学校生活は自分の思い描く通りの学校生活ですか?何の苦労も無いですか?恐らくそんなことはないですよね。少し嫌なことやつらいことがあっても、それにくじけず、乗り越えていこうと努力していくことで、社会に出てから降りかかってくるかもしれない理不尽やストレスに対する抵抗力を身につけていくことができる訳です。
 

 そして三つ目は、「目の前にあることを一生懸命やり続ける力」です。
 学校というところは、ある意味、色々なことをお膳立てしてくれるところです。みなさんが自ら準備しなくてもやるべきことが与えられることも多いです。勉強にしても、行事にしてもそうですよね。
 中には“なぜこんなことをやらないといけないのか?” “これに何の意味があるのか?” と思うこともあるかもしれません。しかし、だからと文句ばかり言って、真面目に取り組まなかったり、途中で投げ出してしまったりして、そこから何か得るものはあるでしょうか? そのことに一生懸命取り組めば、その経験から学びを得て、自らの成長につなげていけるはずです。結果的に、その内容が不満が残るものだったとしても、それはやったからこそ見いだせたものなのです。何もやらずに知ったかぶりをしていても、何の成長もありません。
 これは社会に出てからもまったく同じです。チャンスはいつ訪れるか分かりません。チャンスはみんなに平等にあると思いますが、若者がそのチャンスをつかむ唯一の方法は、今、目の前にあることを精一杯やり続けていくことだと思います。目の前のことに精一杯取り組むことで、目標に向かって努力するという姿勢も身につけることができます。
 また、先ほどの“世の中は自分の思う通りにならない”という理不尽に打ち克っていく上でも、目の前のことに精一杯取り組むということは、とても有効な手段だと思います。
 

 最後、四つ目は「タイムマネジメント力」です。
 社会に出れば、まず“時間を守る”“期限を守る”ということが出来なければ、人から信頼を得ることなど出来ません。
 それは基礎の基礎ですが、それに加えて、自分のスケジュールを管理して、やるべきことに優先順位をつけて、着実に仕事を進めていく能力が必要とされます。これがタイムマネジメント力です。
 実はこれも学校で身につけられることです。遅刻をせずに登校する、決まられた時間にきちんと集合する、提出物の期限を守る、定期考査に向け計画的に勉強する、こうしたことはすべてタイムマネジメント力を身につけるための訓練になっているのです。
 学校でこれが出来なくても、先生から怒られて終わりかもしれませんが、社会人になってからこれが出来なければ、良い評価を受けることは出来ず、自分のやりたい仕事からどんどん遠ざかっていくこととなります。

 どうですか、みなさん、勉強以外にも学校で学べることがたくさんあることが分かりましたか?
 少し難しく感じた人もいるかもしれませんが、毎日の学校生活をきちんと過ごせばいいだけの話しです。
 逆に、やる気を起こさず、適当に流していると、将来自分が苦労するということでもあります。今日の話しを聞いてドキッとした人は、今からでも全然遅くないです。今日からの学校生活をしっかりと送っていきましょう。
 きっと将来、滝井で送った高校生活に感謝する自分がいるはずです。

 それでは、今日の私の話は以上です。どうもありがとうございました。