滝井通信

risk-takers 挑戦する人

2022.07.01

 みなさん、おはようございます。校長の松下です。
 さてみなさん、私が常々みなさんに心掛けてほしいと言っている3つのこと、覚えていますか?
 「何事にも好奇心旺盛に興味を持とう」「まずはやってみようとのチャレンジ精神を持とう」「先生や友だちと積極的にコミュニケーションしよう」の3つですが、今日はその中の「まずはやってみようとのチャレンジ精神を持とう」についての話をします。

 これには、若さの特権を生かして、失敗してもいい、自分の気になったことはまずはやってみるという姿勢を持つことで、行動力と挑戦心を身につけてほしい、という思いがあります。
 つまり、みなさんには「挑戦する人」になってほしいということなんですが、この「挑戦する人」を英語で言うと何と言うでしょう?
 別に難しくないですよね。そう、「challenger」です。
 しかし先日、あるところで、「挑戦する人」の英語訳として、「risk-takers」となっているものを見ました。普通だと「challenger」なんでしょうに、なぜ「risk-takers」なのか?
 「risk-takers」は、直訳すると「リスクを取る人」です。何か「危険を冒す人」みたいなニュアンスで、日本語の「挑戦する人」とは大分違った印象を受けませんか?こういうのがとても気になる私は、「risk」という英語の元々の意味を調べてみました。

 「risk」の語源は「risicare」というラテン語で、「断崖絶壁の間を船で行く」という意味だそうです。要は「自ら危険を承知で踏み出す」感じでしょうか。こうしたところから、「勇気を持って試みる」という意味もあったとされています。
 では、なぜ危険を冒して踏み出すのか。それは、その先に自分の見たいものや得たいものがあるからです。

 その後時代が進み、中世のヨーロッパ人が世界に乗り出す大航海時代までには、同じ意味を持つイタリア語(risico)、スペイン語(riesgo)、フランス語(risque)などがあらわれました。
 大航海時代に海を渡った人々は、絶壁の先にある海の、その先にある未知の国々を見てみたい、そこには自分の国にはない産物があってそれで利益を得たいと考えていたはずです。
 「risk」と同じ意味を持つ各国のこうした言葉には、いずれも「自ら選択して行動する」という意味が込められています。選択した結果、良い結果であることも悪い結果であることもあります。これが「risk」の原意であり、今でもそのニュアンスは残っています。
 ですから、「risk」とはみなさんが直感的にイメージする「危険」という意味よりは、「不確実性」という意味の方がしっくりきます。
 
 誰しも、不確実なものは出来れば避けたいものです。そしてその不確実さを警戒します。だからこそ「risk」を負ってでも行動するべきかどうか迷うのです。
 ではなぜ、人は「risk」を冒してでも行動するのか。それは、「risk」を冒してでもたどり着きたい場所があるからです。
 ここで重要なのは、「risk」は必ずしも行動することだけに伴うのではなく、行動しない場合にも「risk」が伴うということです。
 みなさんも、自分のやりたいことや夢や志を実現するためには、「risk」という言葉の本来の意味にある、「勇気を持って行動」すること、そして「自ら選択して行動すること」が不可欠です。先々のことを心配してばかりいて、何も行動しなければ、新たに得るものも無く、毎日がつまらないものになってしまうでしょう。

 「risk-takers 挑戦する人」。どうでしたか? 少し「挑戦する」ということに対するイメージも変わりましたか?
 ヒロインセミナーでも、自分でこれはと思ったことに挑戦する方々のお話しが続いていますね。
 みなさんにも、自分がたどり着きたい場所を目指して、興味を持ったことにはどんどん挑戦していってほしい、また、失敗を恐れずに挑戦していってほしい。そんな思いで今日の話をしました。
 それでは、私の話は以上です。どうもありがとうございました。