滝井通信

常に心に太陽を

2021.11.15

 みなさん、おはようございます。校長の松下です。
 さて突然ですが、みなさん今何か心配ごとはありますか?心の中に不安なことはありますか?それはありますよね。何も心配なことが無いという人はよっぽど幸せな人です。

 みなさんからどう見えているかは分かりませんが、私は典型的なA型人間で、細かなことが気になるし、一旦気になると色々考えだしたりして夜も眠れないというようなことがよくありました。みなさんの年代の頃はもちろんですし、社会人になってからもしばらくはそうでした。
 でも、実は今はあまりそうではありません。年を取って鈍感になってきているだけなのかもしれませんが、自分なりに考え方や発想を変える努力をしてきた成果もあるのか、自分で言うのも何ですが、かなり変わったと思います。

 そもそも人はどうして不安になるのでしょうか?
 それは人間の進化の歴史にあります。人間が生きていく上での環境は大昔はかなり過酷で、人間の体には生き延びるための「危険センサー」が備わっていました。
 その「危険センサー」は設定を低くし過ぎると、崖から転落したり、天敵に食べられたりして命を落としてしまいます。だからといって、設定を高くし過ぎると、今度は臆病になり過ぎて、その場から一歩も動けなくなって餓死してしまいます。そうすると子孫を増やすチャンスがなくなり、やがて絶滅してしまうことになります。いったい「危険センサー」はどのくらいが適度なのでしょう。
 それは、少し用心深すぎるくらいの設定の方がよかったのです。何かが動いた影を見ただけでもおびえてその場から逃げ出す方が、逃げ遅れるよりずっといい。つまり、臆病さや心配や不安を感じる度合いは、獲物を探しに行けなくなるほどではなくても、かなり高めのレベルに設定した方がいいということです。
 人間の「危険センサー」は進化する過程でそうやって「臆病さの度合い」を強めてきました。私たちが朝から晩まで心配ごとを抱えているのはそのためです。

 「不安」は生物としてのプログラムにしっかり組み込まれているため、取り除くことはほぼ不可能なのです。みなさんも私も、人間なら誰もが「不安」を抱えています。100万年もの間、私たちは常に「不安」を感じていたからこそ生き延びることができたのです。ですから、「不安」を感じること自体は決して悪いことではありません。
 ですが、問題が一つあります。それは、今やわれわれの臆病さは、命を脅かす危険とは直結していないということです。われわれの頭の中に次から次に押し寄せる不安は、何かにつけて心配するのをやめられないから抱えているだけで、その不安のほとんどは実際には起こらないものなのです。

 「トム・ソーヤーの冒険」を書いた作家のマーク・トウェインがその人生の晩年にこう言ったそうです。
 「私はもう老人だ。これまでの人生では色々な心配ごとを抱えていたが、そのほとんどは現実にはまったく起こらなかった」

 また、アメリカ合衆国建国の父と言われているベンジャミン・フランクリンの言葉にこんなものもあります。
 「困難を予期するな。決して起こらないかもしれないことに心を悩ますな。常に心に太陽を持て」

 みなさん、みなさんもここしばらくの間で不安に思ったり、心配だったりしたことが、どれだけ実際に起こったか?少し考えてみるといいかもしれません。


 ところで私の話しに戻りますが、私がどうやって「心配しい」から変わったかと言うと、まず夜に考えごとをするのをやめました。朝起きてみると、何であんなくだらないことをクドクドと考えていたんだろうと思うことが多かったからです。夜に考えごとをするとますます不安になるように人間の頭はプログラミングされているんだと思います。
 また最近、私がみなさんにお話ししていることにもつながっていきますが、その時その時に自分の興味があることに積極的に取り組むように心掛けました。何かに集中して打ち込むことや、そこから得られる満足感は心配ごとから気をそらす最良のセラピーです。
 あとこれは多少訓練が必要かとは思いますが、「人生、なるようになる」と思って生きるようにしています。あまり細かなことにくよくよしないということです。これが難しいんですけどね。でもそれを続けていると、「なるようになる」ように頑張っている自分に気付いたりして、さらに前向きな気持ちになれたりもします。

 「不安」を感じることは、人間にとって不可欠な心の作用ではありますが、みなさんも不要なまでの心配ごとはしないようにしていきましょう。

 さてそれでは、今日もまた、みなさんに部活動での嬉しいニュースをお知らせします。今日は軽音楽部のみなさんです。
 軽音楽部は11月6日に開催された「第1回 全国高校軽音楽部大会We are SNEAKER AGES 関西地区グランプリ大会」に出場。まずは、8月の動画審査による予選を勝ち抜いて関西グランプリ大会に出場していた全40校の中から翌日の決勝大会、ファイナルステージへの進出校を決めるファーストステージを見事突破しました。
 そして翌日11月7日に開催されたファイナルステージでは、惜しくも全国大会出場は逃したものの、演奏技術が高い学校に贈られる「ヤマハ賞」を受賞し、本校軽音楽部としては初めてグランプリ大会の表彰台に上りました。軽音楽部のみなさん、おめでとうございます。みなさん、拍手!
 今回の経験を糧に今後さらに練習に励み、また素晴らしい演奏を聞かせてください。

 それでは、本日の私の話しは以上です。どうもありがとうございました。