滝井通信

Bomber Girl の倍返し

2020.10.01

 みなさん、おはようございます。校長の松下です。
 突然ですが、みなさん、テレビドラマの「半沢直樹」は見ていましたか?
 わたしは滝井高校に来る前に、半沢直樹と同じ銀行員をしていました。今日は、その銀行員時代に私の直属の部下として銀行に入ってきた新入社員の話をしたいと思います。新入社員ですから、大学を出てすぐ、年は22~23歳くらいです。みなさんよりは少しお姉さんです。このお姉さん、名前はKさんとしておきます。Kさんの銀行に入ってからの夢は、「海外で働きたい」というものでした。

 Kさんはみなさんと同じく女子校の出身です。中学時代から英語が大好きで、将来は英語を使って海外へ行くんだという夢を描き、ずっと独学で英語を勉強し続けていたそうです。その甲斐もあってか、Kさんは帰国子女とかではありませんでしたが、英語は結構話せるようにはなっていました。
 しかしKさん、いつも人一倍元気で明るい性格なのですが、何をやるにもどんくさい上に猪突猛進型で、銀行に入ってからは失敗続きで怒られてばかり。Kさんが関わるところ関わるところで問題が起きるものですから、いつしかKさんは周りから「Bomber Girl(=爆弾娘)」と呼ばれるようになってしまいました。

 それから2年ほど経って、Kさんは営業に出るようになり、あるお客様から案件の相談を受けました。その案件はかなり難易度が高く、わたしから見ても実現可能性はほとんどないかなと思ったほどです。周りの人もみなそう思っていたはずです。ましてや担当はあのKさんなんだからと。。
 でも銀行の中に一人だけ、絶対できると思っている人がいました。誰だと思いますか?それはKさん、その人です。Kさんは一生懸命活動しました。しかし知識や経験に乏しく、Kさん自身が何ができるわけではありません。でも何とかしたい、どうすればいいのかと熱く語るその姿勢に次第に周りのみなが動かされ、結果としてその案件は実現できたのです。
 銀行では、社員が成し遂げた優秀な案件を半年ごとに一冊にまとめたブックレットが配られます。Kさんが手がけた案件は何とそのブックレットのトップを飾りました。入社3年目の「Bomber Girl」が最優秀賞に輝いたのです。
 当時、わたしは銀行に入ってすでに20年くらい経っていましたが、Kさんからあらためて多くのことを学びました。最初から半ばみながあきらめかけていた案件を実現へと導いたのは、Kさんの強い思いと周りを動かす純粋な心。若い人の力はすごいなと思った出来事でした。
 Kさんはその半年後に転勤したのですが、その行き先は何とニューヨーク支店。中学時代からの自らの夢を実現したわけです。「Bomber Girl」の見事な “倍返し” でした。


 わたしの銀行員時代の体験談でしたが、いかがでしたか?
 Kさんが素晴らしいのは、高校時代から自らの考えをしっかりと持ち、その思いを実現すべく行動し、努力していることだと思います。自分がやりたいことやこうありたいということは人それぞれです。それが自分らしさということだと思います。みなさんも自分の気持ちに正直に、自分らしさを追求していって欲しいなと思います。
 今日のわたしの話は以上です。どうもありがとうございました。